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第6章 暴走するゲノム

出版後に報告された新知見

本書で紹介した感染性ガン細胞は、犬とタスマニアデビルだけでしか見つかっていなかった。その後、なんと無脊椎動物(軟体動物)である二枚貝でも似たような現象が見つかった。海水を介して感染するガン化した血球細胞である。2例あることは3例ある。3例あるということは・・・。今後が注目される現象だ。

  • Metzger, M. J., Reinisch, C., Sherry, J. & Goff, S. P. Horizontal transmission of clonal cancer cells causes leukemia in soft-shell clams. Cell 161, 255–263 (2015).

また、タスマニアデビルでは感染性ガン細胞が原因で絶滅の危機に瀕しており、近い将来間違いなく絶滅してしまうだろうと考えられていたが、タスマニアデビルも負けっぱなしではなく、ガン細胞に対する抵抗性が最近になって急速に進化していることが見つかった。何とも逞しいものである。これこそが生き物の本質といえるだろう。

 

  • Epstein B, Jones M, Hamede R, Hendricks S, McCallum H, Murchison EP, Schönfeld B, Wiench C, Hohenlohe P, Storfer A (2016) Rapid evolutionary response to a transmissible cancer in Tasmanian devils. Nat. Commun. 7: 12684. 

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